2005年06月29日

職安で刺される?


   職安で刺される?                   
           片岡 永

 実際に刃物で刺された訳では、当然ない。関西弁で言えば「チクられた」のだ。
 2003年3月末で退社し、すぐ職安に行き申請をした。自己都合退職の場合は3ヶ月間の給付制限期間(失業手当がもらえない期間)があるから、実際基本手当の支給は7月末になる。僕は3月から実際に町の産直場に出荷し、細々とした収入はあったがそのことは黙っていた。ところが、7月の認定日に職安に行くと、事務所に呼ばれ、産直場に出荷していることがばれていたのだ。産直場の店長にも出荷の事実を確認したと、担当者は言った。僕は、ここまで調べられていては白を切り通せるものではないと直感し、その事実を認め「これはアルバイトには該当しないと思っていたから申告しなかったのだ」と話した。
 職安が最も警戒しているのは失業給付の不正受給である。担当者は「それでも内職に該当するから正式な申請をせよ」と言い、そのための申請用紙を手渡した。僕はその足で産直場に行き、店長に事情を話し、出荷している旨の証明印をもらい、またすぐに職安にとって返して提出した。その早い対応が担当者の心証を良くしたのだと思う。不正受給とはせず、知らなかったからだとして始末書を書くだけにとどめてくれた。
 書き終えて、「でもどうして判ったのですか」と問うた。すると通報があったのだと言う。もちろん誰からだとは言わなかったが。僕はじっと考えてみた。僕が産直場に出荷しながら失業給付を受けていることで被害を被っている人はいないはずだ。となると正義感から、誰かが通報したということになる。何のためにそんなことをと、かなり落ち込み疑心暗鬼にもなった。給付の事実を知る人は産直場関係者にはいないはずだ・・・、そうかと思い当たったのは5月に行ったある集まりのことだ。そこで僕は確かに、失業保険を受けながら出荷しているという話をみんなの前でしていた。通報するとすればその場にいた人としか思い当たらない。
 随分と悔しい思いを当時はしたが、結果的に言うと、それで良かった。その後は月に何日畑に出て、何日出荷して、いくらの売り上げがあったと正直に申請した。金額が少なかったので支給額を減額されることなく、毎月おどおども、こそこそもすることなく職安に行くことができた。あれがもし黙ったままであったら、不正受給は倍額にして返金しなければならないから、ばれないように、本当におどおどとしながら通っていたことであろう。
 この件で感じたのは、やはり正直が一番だと言うことだ。公務員は融通が利かぬが、利かぬからこそきちんと申請をし、マニュアル通りだと問題なく通過できるのだ。担当者は最後にこう言った。「これでもしまた通報があっても、あの方はきちんと申請をされていますから問題ありませんよと言いますから」と。
 失業給付金額はサラリーマン時代の収入や期間によって違うが、僕の場合一日8216円、28日分で23万ほどあったから、大いに助かった。失業保険は自分が今まで払ってきたものだ。正直に申請し、胸を張って支給を受けよう。

By myfont @ 01:53 PM | 片岡永の百姓随想 | コメント (0) | トラックバック (0)

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