2006年11月02日
自然農と有機農業
自然農と有機農業
永香自然農園 小串広見
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「自然農」という農法があるのをご存知だろうか。無農薬無除草剤であるところまでは有機無農薬と共通の概念だが、”持ち出さず、持ち込まず“の理念の下に不耕起(耕さず)、不除草、不施肥(肥料をやらず)でもって農業を行うという、言うなればほったらかしの農法である。化学合成された農薬以外の使用を是とする有機無農薬農法とは似て非なる農法ということになる。
私がこの自然農について知ったのはつい数ヶ月前。永香自然農園で8ヶ月間研修生として頑張ってくれた広渡さんが新たな研修先として選んだのが、自然農を実践していることで有名な二条町の松尾農園というところだった。久しぶりに里帰りするという広渡さんを我が家に招いた先週の日曜日、待ちかねたように永さんから矢継ぎ早に広渡さんに質問が飛ぶ。
自然に負荷の少ない農業を志向していた永さんは就農するにあたり、有機農法と共に自然農についても川口由一の著書を読むなど勉強を重ねた。その理念に共感は覚えたものの、あまりにもストイックすぎる農法であることから自然農で食っていくことはまず無理だと判断し、有機農法を選択したという。
今回、気心の知れた広渡さんが松尾農園の研修生となったことで、”自然農は生業として成り立つのか?”というかねてからの疑問を解く絶好の機会を得たというわけだ。
広渡さんが農園を卒業してからひと月半。自分が志す農法を勉強していることの充実感からか、彼の表情には生気がみなぎっていた。松尾農園では現在6反の田畑を所有し、松尾さんご夫婦以下総勢7名で作業を行ってるらしい。研修生はみな無給のボランティア。みなさん自然農に興味がある人達ばかりで、地元の福岡や遠くはヨーロッパなどからも来ているという。妙齢の女性が多いと聞いて永さん羨ましそうである。
それにしても6反に7名でかかるとは、もはや人海戦術の様相である。現在永香自然農園の畑は1町歩(10反)。数ヶ所に点在する畑を移動しながら永さんと研修生の松尾さん二人で取り仕切っている。自然農ではそれだけの手間がかかるのかもしれない。
広渡さんと他の研修生は、朝8時から休憩1時間をはさんで夕方6時までみっちり働き、住居はもちろん食事もすべて自腹でまかなっている。この厳しい条件にもかかわらず、しかも公に募集すらしていないのに研修希望者が後を絶たないということに驚く。そうさせるほどの魅力が自然農にはあるのだろう。
松尾農園では収穫した野菜は農協や産直には一切おろさず、すべて顧客への宅配という形を取っている。自然農では、スーパーで見るような虫食い跡のない美しい野菜は到底望めないため、一般の市場での販売は難しい。見た目より安全性重視で、自然農を理解してくれる人達だけを相手に商売している。虫食いがめだつ私の白菜を見て「とてもきれいな白菜ですね」 と感心していたそうだから、美観的には相当厳しいものがあるのだろう。
永さんが一番知りたかった、”生業として成り立つのか”という疑問は、広渡さん自身の疑問でもあるようだった。実際松尾農園では、川口由一が唱えた自然農の理念に沿いながらも、多少幅を持たせた解釈で独自の方法を取っている面もあることが広渡さんの話からうかがえる。
虫も草も殺さず自然との共生を基本とする自然農の考えは、農業の理想かもしれない。しかし家庭菜園や趣味で農業を楽しむだけならいざ知らず農"業”である以上食えなければ意味がない。
あくまでも自然農にこだわる広渡さん。彼がこれから就農し一人立ちしていく上で、自分がめざす理想の農業と、生業としての農業との折り合いをどうつけていくのかが一番の課題になりそうである。
写真は私が育てているキムチ用の白菜と大根。永さんの手ほどきの下週1回だけ世話をしている。初めに少々除草しただけで肥料もやっていない。ほとんど水と太陽と土の力だけですくすく育っている。
9月24日に撮影した写真。この小さな芽が40日後には下の写真のように成長する。
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